弦は言うまでもなくギターの第一発音体であるため、これが音に占める割合は大きいのである。サックスで言えばリードだな。あんまり取っ換え引っ換えするのもなんだけど、これというものを見つけておきたい気もする。だもんでほんの数種類試してみて、これというものを決めてみたのである。J. D'AddarioPhosphor Bronze。ライトゲージを使っている。

 その顛末をちょっと書いてみよう。

最初の弦:正体不明

 最初の弦は正体不明である。J. D'Addarioでないのだけは確か。ボールエンドが素のブラスだからね。買ったギターはAriaAD-35なので、Ariaの初期出荷時に張っている弦さえ分かればいいんだけど、まあ別に分からなくたってかまわない。

 良くも悪くもこの弦が私にとっての第一印象弦になるんだけど、なにしろ最初のことだからよく分かってない。ただひとつ確かに言えるのは、次の弦に張り替えたとき、おお、新しい弦に張り替えるとこんなにもよい音になるのかと思ったということくらい。つまり鳴りの面ではもうひとつだった。

 と言えばなんだけれど、初期出荷の弦で何度も試し弾きされてって感じだろうし、衰えてるのは間違いないんだけれどもさ。だからこれはカウントせず。

次の弦:Ernie Ball, Phosphor Studio Bronze Medium Light

 はじめて張った弦はErnie BallPhosphor弦だ。なぜこれかといえばたいした理由はない。楽器屋の兄ちゃんが選んでくれたのがこの弦だったわけだ。ついでに言えば、おまけでもある。鷲のマークのErnie Ball。いや鷲じゃなくてイーグルか。そのへんはどうでもいい。

 Ernie Ballを張ったとき、弦の色の違いが妙に気になった。弦というのは古びるとえらく退色するもんだとそんときは思ったんだが、実はそれは間違い。最初の弦がBronze弦だったのに対し、Ernie BallPhosphor弦だったというのが色の違いの理由だ。

 Phosphor弦というのはBronzeとは違い、巻き弦の材質が燐を加えた銅になっていて、色は明るく赤めである。ちなみにBronzeは銅と錫の合金で、パッケージに書かれた80/20とかの表示は銅80%、錫20%とのこと。Bronzeの落ち着いた反面地味にもとれる音とは対照的に、Phosphorは明るめで派手でよく響く感じの印象である。

 とまあこんなわけでErnie Ballが初期弦よりもよく鳴ると感じたのは当然であって、特に中低音の力強さは魅力的だった。と、低音の強さに気付くのは次の弦に張り替えて後のことである。

三番目:J. D'Addario, Bronze 80/20 Light

 そして三番目。Ernie Ballは2パックしか買ってなかったので、あっという間になくなってしまった。だもんで弦は三代目に移り、それはJ. D'AddarioBronze弦。はじめて張ったときは、そのあまりの音の違いに驚いてしまった。

 よく言えばソフトだ。悪く言えば鳴りに腰がなくて、なんか手ごたえのない感じ。私の第一印象は後者だったのだな。J. D'Addarioを弦を選んだのはとにかく安かったからという一点だけで、さすがに安かろう悪かろうは仕方がないかと自分を呪った。

 けれどこれって間違いだったんだね。J. D'Addarioは弾き込んでいけば、派手さはないけれどもしっとりとよく伸びるいい音をしてるんだよ。弦自体もErnie Ballより柔らかくて、指に優しい感じがした。だから最初のうちはこのやわらかさがありがたかった。それに中高音域の柔らかさは弾いていると気持ちがいい。すっかりJ. D'Addario、気に入ってしまった。

 後から調べると、J. D'Addarioは世界最大の弦メーカーだそうで、いい弦を作ってると定評あるメーカーだそうで、以前欲しいの欲しくないのと言っていた小型ギター、レディーバードを作っているヤイリ初期出荷時の弦J. D'Addarioのものと聞いて、こりゃ間違いないわ。安くていい弦なら最高じゃんか。すっかりJ. D'Addarioファンになってしまった。

 J. D'Addarioのいいところはボールエンドがそれぞれ色違いになっていて、それを見ればそれが何弦であるかすぐ分かるのだ。たいしたことじゃないちょっとした気遣いだけど、結構便利。いいなあ、こういうの。

そして現在の弦:J. D'Addario, Phosphor Bronze Light

 J. D'AddarioBronzeに落ち着くかと思われたのが、やっぱりPhosphorの鳴りが忘れられなくて、J. D'AddarioPhosphorを購入。赤というよりもローズという感じの色合い。弾いてみれば、やはりPhosphorの音がします。派手で非常に膨らみがある。けれどうまくしないと暴れてまとまらない感じの音。いや、いい感じですよ。

 一説によれば、Bronzeはフラットピッカー向きでPhosphorはフィンガーピッカー向きなのだそう。だからPhosphorという訳でもないのだけれども、あの膨らみのある音の魅力にはどうにも抗いにくいところがある。

 と言うわけで僕はJ. D'AddarioPhosphorを選んだ。音の響きはふくよかで、高音域はソフトで素直なように感じる。共鳴が変わるからか、プレーン弦の鳴りも華やかになったように感じる。

 よいよ。しばらくはこれで行こう。


こととねギターサイドへ トップページに戻る

公開日:2003.03.17
最終更新日:2003.03.17
webmaster@kototone.jp
Creative Commons License
こととねは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 - 継承 2.1 日本)の下でライセンスされています。