メトロノーム

 メトロノームを買った。

 メトロノームというのは踏み台昇降運動をする際に、一定のテンポで昇り降りできるようクリック音を発生させる機械のことで、ベートーヴェンの同時代人であるメルツェルによって1816年に特許がとられたとかどうかはこの際どうでもいいや。

 音楽、特に西洋音楽では、きっちりとテンポが刻まれていないと、どうにもこうにも気持ちが悪いというか収まりがつかないので、練習の際にはメトロノームやドラムマシンなど、正確にテンポを刻んでくれるものを導入して、自分の中にテンポのはかりを作り上げてやらなければならない。

 というわけでメトロノームを買った。これで三代目である。

三代目メトロノーム

 三代目のメトロノームはKORGから出ている電子メトロノーム、MA-30。電子メトロノームにしたのは、音量をコントロールできイヤホンを繋ぐことのできるものが欲しかったからだ。

 メトロノームというのは、それほど大きくないにもかかわらず、出てくる音は意外と大きくて、夜間練習なんかでは迷惑になる、というか気を使って練習に身が入らない。その点、電子メトロノームだと音量を絞れるし、イヤホンで聴くこともできるしで、その方面の心配を解消できるのだ。だから電子メトロノームなんだけど、最近は普通のメトロノームの音量で平気になってしまった。だから電子メトロノームは使っていない。

二代目メトロノーム

 二代目のメトロノームはセイコーから出ていたPicoというシリーズで型番はPN801。でもだからといってどうというものではなく、シンプルの黒色の振り子式メトロノームだ。ぜんまいを巻いて、重りの位置でテンポを決める。振り子が揺れるたびにカツカツとクリック音が響いて、ベル音を2、3、4、6拍ごとに鳴らすこともできるだけど、もう何年もベルの音は聞いてないから、もう鳴らないかも知れない(試したら鳴った、よかった、使わんけど)。

 これの先代は白い角張ったデザインのものだったが、使っているうちにテンポが偏るようになってしまったので、仕方がないので買い替えた(当時、親が)。初代は多分十年弱、二代目は十年以上使ってる。

電子とアナログの優劣

 電子とアナログの優劣といっても、メトロノームなんてものはある程度の目安にしたがって一定したテンポを刻んでくれれば、電子だろうがクォーツだろうか機械式だろうが、なんでもかまわない。けれど私はアナログ式のほうが好きだ。クリック音の方が明確にテンポをとりやすいように感じる。いや、多分それに慣れているからなんだろうけれど。

 電子メトロノームは、音量やイヤホンのこともあるが、それ以上にリズムを付けて練習ができるところが便利だ。振り子式では一定のテンポしか刻めないが、電子メトロノームは三連符や16分音符の中抜きを刻むこともできるので、いいかげんになりやすい三連と16分のリズムの差を意識的に練習することができる。三連のノリは主にポップス系で、いやそれよりもスウィングやシャッフルといったほうが正しいか。ブルースやるにも三連ノリができないと駄目だ。対して16分は古典的な音楽なんかに頻出で、これを三連ノリでやるとだらしなく聞こえてしまう。だから、どんなテンポであっても、この両者をきっちり弾き分けてやらなければならない。

 アナログ式のいいところとしてクリック音をあげたが、これは慣れの問題だけではなくて、クリック音が音程を持たない噪音であることが重要だ。電子メトロノームが鳴らす音というのは音程を持つ音であるため、音程を持つ楽器の場合は邪魔に感じてしまったり、また自分の鳴らしている音にマスクされて消されてしまうこともある。対して噪音は音の質が異なるため、そんなことを気にする必要がない。

 ただアナログ式はぜんまいが動力であるため、ある程度すると止まってしまう。電子式は電池の持ちが結構いいので、練習中に切れて中断するということはほとんどないが、アナログ式は頻繁、というか一時間に二度三度というペースである。ちょっとした休憩、インターバルにもなっていいのだが、途中で止めたくないときもあるので、こういうときは電子式が便利だと素直に思う。

 最後に、電子式ならではのメリット。KORGのMA-30はチューニング音を鳴らすことができるのだ。413-420Hzと438-445Hzから選ぶことができる。チューナーを持ち運ぶのが便利なときなんかには、非常に重宝する機能かも知れない。多分チューナーも持っていくと思うけど。

 というわけで、結論としては電子式は便利この上ないけれど、私はアナログが好きだな、とそれだけの話だったりする。


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公開日:2003.09.09
最終更新日:2003.09.09
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