フットビートを刻め

 先日、自分の歌っているところをビデオに撮ってみたところ、悪い癖がいくつも見つかったといっていた。そのうちの、頭振りすぎやきょろきょろしすぎに関しては、ただただ気をつけるしかない。では最後のテンポ揺らしすぎについてはどうだろう。これも気をつけるしかないことだが、ただ気をつけるのではなく、練習の中で改善していくべきことでもある。

 テンポが揺れるのはなぜか。それはビートを感じていないからだ。どんな曲でも、とは正直言い切れないのだが、まあ一般に演奏されるような曲はビート、拍子を内包している。一定の拍子で進行する。拍子感があるために、躍動や生き生きとした感じが生まれる。しかしテンポがキープされず、当然ビートもおざなりにされるような演奏では、音楽の推進しようとする感覚は得られず、それは実に聞いていて退屈なものになるだろう。

 これはスローテンポの曲でも同じことだ。そこに一定の間隔で刻まれるビートが感じられないようでは、ただ間延びしただけの音楽になりかねない。

そこでフットビート

 フットビートというのは、演奏者が足でテンポを踏んでいるが、あれのことをいう。ジャズやロック、ポップス系の音楽ではことさら重視されるもので、フットビートを踏まないでは始まらないといった具合であるが、クラシック系統の音楽では、フットビートを踏むと怒られる。おそらくはビートの感じ方が違うということなんだろうが、逆にポップス系ではフットビートを踏むようにといわれるわけで、すなわち足でビートを刻める、足で刻まなくとも拍子感を感じられる、両方できるようにするのがベストなのだろう。

 しかし、私はフットビートが苦手だ。理由は単純。フットビートを踏まないよう教育されたからだ。しかしポピュラー音楽をやらないわけでもなかったから、踏むことは踏むのだよ。しかしちょっとリズムがややこしく込み入ってくると、途端に足が踏めなくなる。ああ、これは駄目だね。ビートを感じ取れていないんだよ。こうしたことはえてして演奏に現れるものだ。

 私は、先日の録画以来、努めて足を踏むようにしている。ゆっくりの曲ではゆっくりと、速い曲では速く、しっかりと、きっちりと、確実に踏むようにしている。これはなにも常に踏まねばならないというわけでもないのだ。とにかく踏んで演奏できるようにする。テンポ感をしっかりと身に付けることが第一で、それさえかなえば、実際の演奏時には踏まなくたってかまわない。もちろん踏んでも構わないわけだが、曲によっては踏まないほうがいい場合もあるだろう。それはどういう時かといえば、フットビートによってビートを感じるべきではない音楽をやる時だ。そうした曲の場合はメトロノームを使うべきなのかも知れないね。しかし、私は今は、フットビートを踏めるようにしたいと思う。外部でビートを刻むのではなく、自分の内側でビートを感じられるようになりたいからだ。

 しかし、踏んでみるとわかるのだが、足が結構疲れて、しまいには痛くなってくる。これはちょっと困ったことだな。


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公開日:2008.10.31
最終更新日:2008.10.31
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