ギター上達ツールとしての12弦

 友人からもらった12弦ギター、早速弾いてみて、その弾きにくさに驚いたわけだが、しかしこの弾きにくさには大きなメリットがある。それは、12弦で練習すると、普通のギターが強烈に弾きやすくなるというものだ。弾きやすさの原因は、以下の4点:

  1. 押弦らくらく
  2. セーハもらくらく
  3. ハイポジらくらく
  4. 弾弦らくらく

 もういうまでもないことだろう。12弦ギターは、1コースに2弦ずつ張られている。そのため非常に押弦しにくい。押弦しにくさは、2本の弦を均等に押さえなければならないというのがまずあって、そしてその張力の強さだ。単純な話、スチール弦2本を一気に押さえねばならんわけだよ。要する力は倍! とは単純にはいかないものの、しかし通常のギターに比べてもかなり強く押さえてやらなければならないことは、容易に理解されることだと思う。長くギターを弾いてきて、それなりに強くなった左手指先だが、12弦ギターを弾いた後はかなり疲弊し、痛み、そして翌日ともなると腫れる。驚いたね。しかしこのハードさに慣れれば、普通のスチール弦など楽勝だろう。ライトどころかミディアムゲージでもどんとこいという気分になる。そして、余裕を持って弾けることは些細なことであるが非常に大きい。

 セーハが楽になるというのも上の理由に同じだ。ハイポジションについてもほぼ同様。これは楽器のコンディション次第なのかも知れないが、結構弦高があがってしまっているから、ハイポジションが押さえにくいんだよ。ところがこの押さえにくさに耐えると、普通の楽器のハイポジションが劇的に楽になる。不思議なものだが、14フレットジョイントの12弦ギターを弾いて、12フレットジョイントの楽器が楽になるのには驚いた。やはりこれも余裕のなせる技だろう。12フレット以上、14フレットくらいかな? を弾くのも非常に楽になった。これは非常によい変化であると思ったね。

 そして最後の点、弾弦が楽になるというのも簡単な理由だろう。12弦ギターは2弦を一度に弾かねばならない。対して6弦のギターは単弦でいいわけだよ。これは比較にならないくらい楽だ。いやあ、こんなに弾きやすいとはね、思わなかったよ。そもそも12弦ギターは指弾きに向かないのではないかと思ったりもしていたのだが、それでも普通にスリーフィンガーで弾いているという人がいるのだから、やってやれないことはないんだろう。そう思って指弾きも練習していたら、それが通常のギターに効果を発する。もちろん12弦ギターの演奏も上達するんだが、それ以上に6弦ギターにメリットがあると思ったわけだ。

 それ自体が実用品である楽器に対し、こんなことをいうのは大変失礼な話ではあるが、12弦ギターは通常のギター上達ツールとして使うことが可能だ。だから、私はこのひと月ほどは12弦ギター練習月間として、これをメインとしてやってみようと思う。結果がどうでるかはわからんが、少なくとも12弦ギターに慣れることは確かだろう。そしてそれが通常のギター上達に役立ってくれればなによりだ。


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公開日:2008.05.26
最終更新日:2008.05.26
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