先月いっていたこと。エレキギターの刺激に慣れると、フラットトップがものたりなくなる。これは本当なのか。実際にその後も弾き続けてみて、そしてその感想が間違っていたことを知る。フラットトップギターには、エレキギターでは得られない喜びがある。それは、刺激的なエレキギターの楽しさとは違う、もっと静かで、しかし豊かなものであった。
その正体は響きだ。実際に鳴る音がある。直接的に耳に届く、そうした音とは別に、楽器から発される響きが感じられる。その響きが大変に心地よく、ああやっぱりアコースティック楽器もよいなと思わせる、そんな感触がたまらない。それは、ざわざわとやかましいところでは消えてしまうような、そんな響きであるのかも知れないけれど、ギターを弾いている、自分とその周辺に広がって、強くは主張しない、しかし確かにそこに存在していて、自分を包んでいる、そうした感覚が大変よいのだ。
エレキギターには、エレキギターの強く訴える力があって、それは大変によいものだ。そしてアコースティックギターにも、確かな存在感、それもよい。そうした違いを感じとれれば、アコースティックギターがエレキギターに比べてものたりない、そんな感想は出なくなるな。
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