想い出のロックン・ローラー

 私は少年期から青年期にかけてを1980年代に過ごし、だからその頃の風俗――、音楽や映画、テレビ、漫画、アニメ、ゲーム、サブカルの類いも含めて、みんな好きだ。だが当時、私は今ほど物事に貪欲ではなく、そう、藤子不二雄あたりを見ていれば仕合せだった。あまりなにかに深くのめり込むということはなかった。

 ふたつ違いの姉がいたので、釣られて歌番組は毎週見ていた。主にトップテン。ベストテンは夜が遅いので、なかなか見ることはできなかった。80年代の子供は九時過ぎには寝ていたのだと、今九時過ぎにこうして文章を打っている私には、どうにも信じられないような気がする。姉が好きだったのは、アルフィーや安全地帯、少年隊、チェッカーズ。これだけでも時代が分かる。アルフィーは私も好きだった。姉が友達からコピーしてもらったのか、そうしたテープを持っていて、モノラルのカセットデッキで聴いていた。レコードを買うだなんて思いも寄らなかった時代で、音楽はテレビからカセットに録るものだった。静かにしない家族の声が入って怒ったのは低学年の頃。高学年に入れば、モニターからラインに録ることを覚え、そうした不和はなくなった。

 父親が偏屈で、ジャリタレを嫌っていたのが影響し、私は歌を好まぬふりして育った。うたう歌は唱歌やなんかの類いで、詰まらん子供だ。だがそれでも覚えている歌がある。好きだった歌がある。ただ、同年代の誰もが知る歌詞を私はうろ覚えで、それを悔いても遅い。追うにはもう、どれも行き過ぎてしまった。

 ブルボンが、Jポップ黎明期のシングルをおまけに菓子を出している。あの父が、どうやら興味を持っていたようだったので、別用あって寄ったコンビニで見付けて買って帰ってきた。どれも懐かしい知ったものばかりで、よくも選んだと感心するさすがの選曲。四つの中から迷ってひとつを買った。さて、ここで問題だ。私が選んだのは一体なんであるか。


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公開日:2004.03.03
最終更新日:2004.03.03
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