輸入盤規制法案に反対する

 メシアンの『鳥のカタログ』。国内盤7,646円が、輸入盤だと3,560円で買えます。しかも、店によってはもっと安かったりもする。レーベルも一緒、演奏者も一緒、それ以前に録音が一緒。違うのは装丁と日本語解説の有無くらいだから、私が買うCDはもっぱら輸入盤です。

 ところが、こうした輸入盤を封じようという動きがあるのだそうです。小泉内閣が文化庁とともに提出した法案「著作権法の一部を改正する法律案」がそれで、安価な海外版CDの輸入を規制する法案です。法案の趣旨こそは、海外市場向けにリリースされた安価なCD逆輸入を禁止するものですが、実際にはすべての輸入CD(ロック、ポップスはじめクラシックももちろん)に適用可能です。国内産業の保護をいいながら、消費者の選択肢を奪いかねないという、極めて統制色の濃い法案といえるでしょう。

 私が輸入盤を選ぶのは、価格の問題もありますが、実はそれだけではありません。原語での解説が必要になり、資料として買う場合もあります。国内盤があったけれども絶版してしまって、輸入盤でしか買えなかったこともあります。そもそも国内で出ていないものもあります。ですがそれ以前の問題として、自分が欲しいと思っているものになぜ難癖つけられなくてはならないのか。簡単に国境を越えて私たちの心に飛び込んでくる音楽の翼を奪うようなことがあっていいのか。私は、音楽こそはそういったしがらみの埒外にあって欲しいと願うから、この法案に反対するのです。

 この法案が規制できるものは、国内盤に対し同一内容と認められる内容をもった海外盤商業用レコードです。悪名高いCCCDとリマスター・再リリース盤CDでも、録音が同一であれば同一内容とのことです。ここに来て問題は、もう価格だけのものではないのです。

 重ねていいます。私はこの法案に断固として反対です。お仕着せの判断や基準なんて、私の音楽には必要ありません。


参考資料
著作権法の一部を改正する法律案
質問本文情報
答弁本文情報
質問答弁経過情報
関連資料
海外盤CD輸入禁止に反対する

注意していただきたいこと

 この法案を適用することによって規制できるのは、国内盤の出ている海外盤です。なので本文中に挙げた例で規制される可能性を持つのは、次にあげるものです。

 ただし、規制対象外である「国内で出ていないもの」であっても、輸入盤の流通規模が縮小することで、影響を受けうるのです。

 すべての輸入盤が規制対象ではないけれども、すべての輸入盤に影響する可能性が考えられる。ここが大事です。


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公開日:2004.04.08
最終更新日:2004.04.08
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