ダイアルアップに逆戻り

 朝起きて、ネットに繋ごうとしたら返事が返ってこない。サーバの問題かと思ってみたが、軒並みダウンしている。おかしい、どうやらネットに接続ができていないようだ。モデムがフリーズしたせいだろうと思い、電源を切って入れ直してみたものの復帰しない。LANの状況を確認するが問題は見られず、配線を見直しても同様。これはどうにもおかしいと思いはじめて、はじめて不安になった。

 プロバイダに連絡をとろうにも、連絡先がわからないのだ。幸い、プロバイダからのメールはすべて残してある。いくつかのメールの末尾に電話番号が載っていたから、とにかくここにかけてやろうと思った。窓口が違っていてもしかたがない。その時には正しい番号を教えてもらえばいいだけの話だ。と、ぶしつけにも最初に目に留まった番号に電話をしてみて、どうやらその番号で正しかったようだ。

 最近のサポートは、本人確認をずいぶんきっちりやるのだな。ソーシャルエンジニアリングを怖れてのことだと思う。いい傾向だ。電話や名前や、とにかくいろいろを根掘り葉掘り聞かれて、そうしてようやっとサポートがはじまった。状況と確認した箇所を伝え、同様の事例は発生していないかと問えば、そういう事実はございません。固有の問題だと判明する。適切な係に転送してくれた。

 モデムの設定の見直し、再起動、初期化等々を試み、それでもネットワークは復帰しない。いや、たった一度だけ、ほんの数秒復帰した。ただそれは偶然だったのか、それ以降接続が確立することはなかった。

 電話回線にノイズがのっているのだろうという判断が下り、キャリアで調整をしてもらうこととなった。治るまで最大二三日はみて欲しい。それは困った。予告もなしにサイトの更新が止まれば、私は死んだことにされてしまう。ノイズが問題なら、ノイズの影響を受けない光ならどうだろう。導入に幾日かかるかと聞いたら、三週間ほどとの返事。言語道断。しかたない。おとなしく回復するまで待とう。

 インターネットにつなげないというだけで、これだけ不安が募るとは思いもよらなかった。死亡が確認されないようにと思い、友人のうちに電話を入れたら、家人に不審者と疑われてしまった。本名が役に立たない! まあしゃあないとは思うが、あんただれ、アンドロイド、なんでいるのてな具合であった。まあ、あの場合、気のきいた応対のできなかった私が悪い。しかし、ネット上のハンドルを生身で使うには抵抗があるんだよ。なんでだろう、なんでかな。

ダイアルアップを試みる

 私は忘れていたのだが、ADSLがなければダイアルアップで繋げばいいじゃない。ありがとうマリー(誰?)、けど私はダイアルアップの番号も知らないのだよ。なので、再びサポートに電話する。詳細な本人確認をクリアし、番号を教えてもらった。後はうろ覚えでダイアルアップ設定をやっつける。よく考えれば、OS Xに移行して、はじめてのダイアルアップだ(iBook G4らららに収録してもよかったな)。しかし、世の中は進んでいるので、なんの苦労もなく繋がる。mixiを確認し、ダイアルアップで接続している旨を書き残す。生きていることをアピールしたわけだ。そしてメールを確認。いくつかの掲示板も確認。そして電話を切った。

 久しぶりのダイアルアップは、懐かしいものを思い出させてくれる。いつもの机を離れ、廊下にはいつくばるようにしてのインターネットは不便で、しかも刻々と電話料金が加算されるという事実がプレッシャーになる。思えば、ダイアルアップが当然だったあの頃は、繋げる前に巡回先を決めておいて、ざっと巡り情報をかき集めるというのが普通であった。それが、常時接続になってからは、無目的的な巡回が増えた。だらだらと、ザッピングするようにサイトを、ページをめぐる。事前に見るもの、調べることを用意しておくなんてことはしなくなり、ずいぶん散漫になったものだと思う。その散漫さは、こうした文章にもあらわれているのではないか。だから、今日は素直に反省しようと思う。

 ダイアルアップを引き上げ、今日の更新はダイアルアップでいけそうだと当たりをつけ、問題はBlogだが、これもなんとかなるだろう。ただ、Blogの更新はフォームから投稿する形式だから、事前に文章を用意してというやり方とは相性が悪く、さらに私のBlogだとAmazonで商品情報を見つける必要があるから、面倒は極まる。しかし、かつてのダイアルアップ時代にも、こうしたことはやっていたはずだ。確かに非効率だったとは思うが、それでもできていたはずだ。なのに、今となればどうやっていたのかが思い出せない。道具が便利になれば、人間が退化する。私も、本来自分がすべきことをインターネットにゆだねるようになって、ずいぶん退化したのだろう。

ADSLの復旧

 ADSLの復旧は午後四時半ごろだったらしい。私は、モデムのリンクランプでADSLの復旧を確認していた。それが五時過ぎのこと。プロバイダからの連絡はさらに遅れて、おそらく安定して接続できるか確認していたからだろう。

 今日は思いがけず便利を失って、その便利に頼り切っている自分自身を知ることとなった。かつて不便を愉しむだなんて気取っていたが、いったいどの口がああした文句を吐いたのだろう。みっともないことである。つくづく反省する。


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公開日:2005.10.23
最終更新日:2005.10.23
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