KNOPPIXを準備する

 私は、コンピュータの利用は個人の範疇にとどめておきたいと常々考えているのですが、望むと望まざるに関わらず、コンピュータに関わらなければならないというのが現代という時代です。つまり職場でもコンピュータにまみれて暮らしています。いや、それでも、自分のコンピューティングに関してだけなら苦でないのです。問題は、他人のコンピューティングに巻き込まれる場合ですね。うかつに詳しいと、助けを求められるという例のあれです。

 もう辟易しますよ。

Wiindows 9x系の終焉

 職場で使われているコンピュータは、まあほぼすべてがWindows機であると考えてよいと思います。いや、そりゃもちろんサーバなんかを見たらUNIXやLinux系もあるにはあるんですが、でも最近はWindowsサーバも増えてきましたね。いや、それはそれでいいんですが、あんまり面白くないなあと、まあこれは個人的な感想です。

 職場に置かれているコンピュータは、基本的に保守契約込みでリースないしは買い取られたもので、こうしたものに関しては私の出番はありません(いや、それでもあるんですが)。保守業者に対応お願いして終わりみたいなものですが、ですが非常に困ることに、保守契約を結んでいないような端末もあるんですね。企業として導入したというよりも、なんかよくわからないまま普通の文具やなんかを買うみたいにしてはいってきたんでしょうか、非常にグレーな感じのする端末どもで、なにしろ保守契約とかをそもそも考えていないということからも、担当部署にコンピュータの知識がないというのがわかるというものです。こういうのにトラブルが起こった場合、なぜか私が駆り出されます。なんでか知らないのですが私で、自分の知らないうちに名前が独り歩きしてるみたいで、あちこちから呼ばれます。なんでやねんと思いますが、ほらそこはなあなあの人間関係が生きている世間での出来事ですから、上層部のつながりやらなんやらで、最低層の住民である私は抗うことすらできず派遣されるというわけですね。

 まあ、これもよくある話ではないでしょうか。

 私はこれまで、こういうトラブルが発生したときには、Windows Meで作成した起動FDを持っていくことにしていたんですね。これなら、例えディスクトラブルが発生していたとしても、起動することが可能です。DOSで立ち上げて、ディスクの状態を見てもいいし、SCANDISKで修復を試みてもいい。まあ、ちょっとしたトラブルなら大抵対処できるので、大変重宝しておりました。

 けれど、このディスクでの緊急対応ももう駄目になってきているんですね。

 理由は簡単、新しい端末のディスクが読めないんですよ。Windows Meが読めるのはFATでNTFSは読めないというのをいえばもうピンとくるかと思います。そう、世の風潮に習い、Windows 2000ないしXPへの置き換えが進んでいるんですね。もう、ほとんどどこに行っても2000かXPです。で、こいつらはNTFSでフォーマットしたディスクを使ってることが多いんですね。

 先日のことです。起動しなくなったという連絡があって、あんまりよく聞いたようなパターンだと思ってフロッピーの有無を確認してもらったら、ないという話です。仕方がないから見に行ったら、ntoskrnl.exe が存在しないか壊れていると表示されています。ちなみにOSはXP。ディスクがFATでフォーマットされていることを祈りながら、Windows Me起動FDを使ってみたら、ディスクがないといわれてしまいました。そう、予想したとおりNTFSでフォーマットされていたのでした。

 もう、Windows Me起動フロッピーディスクでは対処できない時代になったのだと実感しました。

KNOPPIXを準備する

 ディスクが読めないでは話になりません。本来なら、ここで修復コンソールをインストールして起動後、CHKDISKを試すというのが筋ですが、なにしろその端末はディスクイメージでもってOSが供給されるタイプのもので、つまりWindows XPのディスクがないのです。これでは当然修復コンソールを準備できません。ディスクも読めない、チェックもできない、修復も試せないとなれば、後はもうリストアするしかありません。

 担当者の了承を得てリストアしました。もちろん、データはパーです。

 リストア作業をしながら、ここにKNOPPIXがあればよかったのにと思いました。とりあえずディスクを読むだけはできるようになりますからね。

 ご存じない方に説明しますと、KNOPPIXというのはLinuxのディストリビューションのひとつで、ハードディスクにインストールすることなく、CDから直接起動して利用することができるというのが最大の特色です。NTFSには読み出しのみですが対応していますので、小さなデータならFDに退避させるなど、大きなデータでも工夫次第では救出可能であるでしょう。

 先の事例でもしデータを救出しようとしたら、ハードディスクをはずして生きているNT系マシンに取り付けるか、あるいは新しくハードディスクを持ってきてそれにシステムを入れるか、そういった方法しかないでしょう。あまりに手続きが煩雑で、ちょっとした手助けでやるにはおおごとすぎます(けど、自分のマシンならそうするよな)。けれど、もしそこにKNOPPIXがあれば、とりあえずCDからLinuxをブートして状況を確認することもできる。そうなれば、新たな対処法も見えてくるかも知れない。これからはKNOPPIX必須かもなあ、と思ったのでした。

 なので、KNOPPIXを用意してみました。幸い時期がよかったのか、ついヴァージョン3.7がリリースされたところで、早速ダウンロードしてCDを作成。けれど残念なことに、私の手持ちのコンピュータでは起動できなかった。まあ、今度職場で試してみますよ。

 個人でWindows 2000/XPを使っている人は多いと思いますが、メーカー製のマシンを使っていると手元にはリストアCDしかないのが普通です。でもこれだと、なにかあったときに対処しきれません。だから、マシンが普通に動いているうちに、KNOPPIXを準備しておくことをおすすめします。必要なのは、ディスクイメージのダウンロードとCD-R(700MB)くらいなものですから楽なもの。いや、本当に大切なのは転ばぬ先の杖ですよ。


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公開日:2004.12.22
最終更新日:2004.12.26
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