魔法のエンジンで遊ぼう

エミュレータの楽しみ

 パソコンでゲームなんかを楽しんでいる人には、エミュレータという言葉を聞いたことのある人も多いでしょう。あるいは、すでになんらかのエミュレータを入手して楽しんでいるという方もいらっしゃるかと思います。

 エミュレータというものを御存じない方のために説明しておきましょう。エミュレータというのは、本来ならその機種では動かないソフトを、だまくらかして動かしてしまうというソフトウェアのことをいいます。例えば、Macintoshのコンピュータでは動かないはずのWindowsですが、MacintoshのOSの上で動作してWindowsをだまし、動かしてしまうようなエミュレータというのはいくつも存在していますし、また逆もあります(友人がそんなこともしていたっけかな)。他にポピュラーなエミュレータといえば、古いパソコンやゲーム機を真似て、それらの専用ソフトを動かしてしまうようなものでしょう。驚くくらい、いろいろな種類のエミュレータが、いろいろな機種向けに作られています。興味のある人は、Yahoo! なんかで検索してみてください。結構、いろいろ出てきて面白いですよ。これだけ見ても、如何にこのエミュレータというものの人気があるかがうかがえるというものです。

エミュレータの欠点

 ですが、エミュレータというものにも欠点というのがないわけではありません。そもそも動かないものを動かそうという試みがエミュレータです。なので、仮にソフトが動作したとしても遅い、重い、すべての機能が利用できないなどの問題が、かなりの確率でつきまとってくると思ってよいでしょう。そもそもがそもそもなので、これらを欠点というにはあまりに酷ではありますが、エミュレータというものは動けばラッキーくらいのものと思って付きあうのがよいくらいのものなのです。

 ですが、これら問題をクリアし動作したときの感動といったら、ちょっとたいしたものだったりします。Windowsの上でMacintoshが動いた、懐かしのゲームができる、などの感動は、なんだか奇跡めいた気もして、本来の一粒で二度おいしい的な打算では勘定できないほどの喜びです。

Magic Engine

 さて、今回お話しようというのはMagic Engineというエミュレータについて。このソフトは、PC EngineというかつてNECからリリースされていたゲームマシンをエミュレートするものです。PC Engineは、任天堂のファミリーコンピュータよりも高機能であり、後にはCD-ROMをサポートするようになるなど、拡張性に優れ、比較的マニアックでもあったゲームマシンでした。

 ですが、一体なぜ僕はこのハードにこだわる必要があったのでしょうか。それは、我が家に眠る一枚のCD-ROMのためでした。以前のバイトをやめたときに、友人のひとりが贈ってくれたのです。

第一次導入期

 はじめて僕がMagic Engineに触れたのは、2000年の中頃でした。新しいハード、iBookを購入した僕は、かつての愛機、LC630では到底かなうべくもなかったエミュレーションを体験してみたいと思ったのでした。しかし、どのエミュレータを探そうと思案した、その時に脳裏に浮かんだのが、まさに友人にもらったゲームソフトにほかならなかったのです。

 Magic Engineの存在をまったく知らなかった僕は、検索にすべてをゆだねました。適当に入れたキーワードから、エミュレータを専門にしているページに飛び、そこでMagic Engineを知ったはずです。いくつもあるPC Engineのエミュレータからあえてこのソフトを選んだのは、CD-ROMをサポートしているのがMagic Engineのみだったからです。これを選ぶ以外に、僕には道はありませんでした。

CD-ROM、動作せず

 Magic Engineをダウンロードした僕は、さっそくソフトを立ち上げ、CD-ROMへのアクセスにチャレンジしてみました。当時のバージョンは0.96b。CD-ROMのシステムを立ち上げ、ソフトをスタートしてみたところ、出ました、コナミのオープニングロゴがアニメーションしながら表示されたのです。好し、いけた、と思ったの矢先、ここでディスクエラーを起こし、Magic Engineは立ち往生。これ以上先にゲームは進みませんでした。残念ながら、動作しなかったのです。

 どうやら、動作しなかった原因はMacintosh OSのバージョンが9だったからのようです。CD-ROMは、OS 8でしか動かないとのことでした。

第二次導入期

 Macintoshでは使えなかったMagic Engine。もうあきらめていた僕でしたが、あるひょんなことからWindows機を入手するに至ったのです。機種は日立のFLORA Prius note 210h。CD-ROMドライブも購入して僕は、Windows用のMagic Engineをいざ試さんと、二度目の導入に踏み切ったのでありました。

 しかし残念なことに、そもそもノートとは相性が悪いのか、CD-ROMを認識してくれなかった…… 実にショックなことでありますが、これも仕方がない。受け容れざるを得ないきびしい現実なのであります。

第三次導入期

 その後はすっかり忘れられてしまったMagic Engineでしたが、ある出来事を機に、導入の機運が高まってきたのでした。その出来事とは、再びのWindowsマシンの入手。今度のは、富士通のFM V-DESKPOWER SE。友人が新しいPCを買うというのでくれたのです。

 今となっては古く、しょぼい機種といわざるを得ないマシンでした。ですが、デスクトップ型というのが僕に希望をもたらしました。始めからCD-ROMドライブが組み込まれているのだから、まさかCD-ROMを認識しないしないなんてこたあないだろう、というのがその理由。そしてこの直感があたり、CD-ROMは見事認識されたのでした。

 立ち上がる、コナミのロゴマーク。しかしそこで「こなみ〜」というのは女の子の声だったはず――、なぜおっさんじみた野太い声なのか? ハードウェアのスペックが低すぎて、エミュレーションに全然ついていけてないのです。

 ええ、エミュレータは動作しましたし、ゲームも動きましたよ。けれど、全然実用的な速度ではなかった。名前を入れるだけで地獄のような時間が経ってしまうというのでは、どうにもならない致命的状況です。よって、第三次導入も失敗であったといわざるを得ないのです。

そして今回

 そして、懲りずに今回、四度目の試み。性懲りもなく新たなチャレンジに踏み切らせたのは、他人のPCになんの気なしに入れてみたMagic Engineが、非常に快適に動作したため。悔しかったのです。と、そこでよくよく見てみると、バージョンが上ってるではないですか。もしかしたら、Macintosh OS 9でもいけるかも知れない――

 新たにダウンロードされたMagic Engineは、バージョン0.99b4。幾つものバグフィックスが行われているらしく、今度こそという気にもさせてくれました。見た目こそは以前のものと変わりないのですが、過ぎた時間の分だけ期待は高まります。そして、この期待はついに報われたのでありました。

 いやはや、動きましたよ。コナミのロゴも出ました、声も女の子でした。しかし、なぜオープニングの歌が流れないのだ? どうやらこれは、OS 9からのCD-ROMの扱いが変わったためのようです。この際、歌はあきらめましょう。要はゲームができればいいのです。

 動作に関しては、多少の重さ、もたつきは感じるものの、充分実用のレベルであるといえるでしょう。ですが、残念なことにPowerPC G3 366MHzでも力不足のようで、音声は間延びして聞こえてきます。仕方がありません。ボイスはOFFでプレイしましょう。とはいいながらも、非常に満足できる状況。なにしろ、新たなハードを追加することなしにゲームが動くのですから。キーボードでの操作は正直プレイしやすいとはいえないですが、特に反射神経が求められる類いのゲームではありません。今は、これでよしとしましょう。

レジストしようか、どうしようか

 Magic Engineはフリーウェアではありません。れっきとしたシェアウェアで、フィーは2,000円。正直僕は、この値段は破格の安値だと思う。それくらいよくできたソフトウェア、2,000円を払っても、決して惜しくはないでしょう。

 ですが、レジストするかどうかで少々迷っています。というのも、僕はコンピュータでゲームはしない性質。なので、動いたことに満足するばかりで、向後はまったくプレイしない可能性があるのです。なので、レジストはしないかも知れない。けれどレジストをしないと、五分間でストップするというペナルティがある……

 勘のいい人ならお分かりかも知れませんが、散々試してきたソフトというのは、コナミの『ときめきメモリアル』です。五分ごとにプレイ中断するのを潔しとするか、それともすっぱりとフィーを払うか。これは、向後どれだけこのゲームをプレイするかにかかっている――とはいえ、実をいうと、僕はこのゲームをクリアしたことがありません。決まって途中で飽きるのです。なので、現時点ではフィーは支払われず、当然このソフトも使われなくなる傾向が強い。なんか、ちょっともったいない気もします。


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公開日:2002.07.31
最終更新日:2002.07.31
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