この秋の連休は、体調の優れなかったこともあり、ずいぶんと無駄をしてしまった。ギターを弾きたいと思っていたのに、それがかなわなかった。寝て過ごすような日が何日もあって、ずいぶんとやきもきさせられたものだ。このまったくギターにも触れなかった数日。その間にどれだけ鈍ったろうと思ったが、その心配はさほどのものではなく、確かにタッチは少しかたくなったかも知れない。しかしそれよりも、休んだ後に弾くギターはその響きがやさしいということに気付かされて、それは多少はっとさせられる体験だ。
響きがやさしくなるというのは、タッチが変わるからなのか、それとも身体が弱ってしまったからなのか。それははっきりとはしないけれど、おそらくは後者なのではないかと思っている。爪弾く弦の響き。ささやかなものでさえもよく感じとれるようになる。それは元気な時には、気力や体力が勝っているためか、むずかしいのかも知れない。実際のところ、響きの違いは私だけに感じられるものだろう。そして、そのやさしげに響きが広がるのを聴き、感じとりながら、私は少しずつ回復していくのだろうと思う。