飴をもらった

 『秋冬』のリクエストをいただいた。それからというもの、よりよく歌いたい、その一心で、『秋冬』を中心に歌っているのだが、そうしたらそのリクエストくださった方が再びいらっしゃって、お声をかけて下さったのだった。そして、私に小さな包みを握らせて、お礼だとおっしゃる。見れば、飴がたくさん入っていて、最初はミックスキャンディーかと思ったら、どうもそうではない。どう見ても、ミックスキャンディーとしては売られていない、そうした飴が混じっている。さらに見れば、おかきの類いも入っている。ああ、手近にあるお菓子を集めて、包んで下さったんだ。私には、お礼の気持ちをかたちにしようとされた、そうした気持ちがなによりも嬉しく思われて、ああ、本当に嬉しいことだったんだ。

 お礼という、その菓子の包みは、本当にささやかなもので、過去に仕事であがったステージ、それらで得られた報酬に比べればずっとずっと、比較にならないほどささやかなものであるのだけれど、しかしそのささやかがこんなにもありがたいのだから不思議なものだ。それがありがたいのは、お心が伝わってくるからだと思うのだ。ただただ、好きで歌っているだけの私の歌を認めて下さったということ、それ以上に、喜んで下さっているということが、逆に私にとってはこの上もない喜びになって、それがかたちになったのがあの菓子なのだから、それはそれは格別というものだろう。皆でわけますといえば、ちょっとしかないからひとりで食べてとおっしゃる。本当に嬉しいことだ。

 おっしゃったとおり、誰にもわけずに持って帰った菓子であるが、これがなんだかもったいなくて、手を付けるのに躊躇してしまう。しかし、食べないのでは意味がないよな。だから、これは少しずついただくこととする。


こととねギターサイドへ トップページに戻る

公開日:2008.12.04
最終更新日:2008.12.04
webmaster@kototone.jp
Creative Commons License
こととねは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 - 継承 2.1 日本)の下でライセンスされています。