アポヤンド改良中

 この一二ヶ月、むやみに弦を切ってしまうもんだから、なんとかしたいと思いながら、自己分析してみたら、もしかしたらアポヤンドがうまくないのが原因ではないだろうかと思うにいたった。ただそれは、ただ力を入れすぎているからとかそういうのではなく、弾くときの指のかたちに問題があるのではないかということだ。

以前の指のかたち

 私は以前、隣の弦に指をもたせ掛けることを前提とするアポヤンドは不自然だというカルレバーロの説を引いたことがあった。その時の結論は、弾弦に用いる指の使い方、いったいどの関節から先で弾くかを考えようというものであり、いうならばカルレバーロの説に全面的に同意しようというものであった。

 つまりこれはどういうことかというと、一般にアルアイレと呼ばれる弾き方は、カルレバーロのいうところの指の第一関節のみを固定して弾く奏法にほぼ同じであり、アポヤンドは第一第二関節を固定して弾く奏法に同じということを理解しようということである。

 しかし私は、長く弾いているうちにそうした当初の考えをいい加減にするようになってしまって、結局アポヤンドを、弾弦後に指が隣の弦にもたれかかるように弾くという、語源的には正しいがメカニズムとしては正しいとはいえないやり方で弾くようになってしまっていた。よくよく観察すると、指の関節は固定されておらず、むしろ弦に押し当てられる力に負けるような、若干後ろに反るような、そんな弾き方になってしまっていた。加えられた力が効果的に弦の振動に変わらない、そういう非効率な弾き方になっていたのではないだろうか。

目標とする指のかたち

 なので、アポヤンドを改善してみることに決めた。改善の目標は、指が若干内に曲がったかたちで固定されているようにすること。ちょうどピアノで、卵を軽く握った感じでというが、そういう感触をギターに持ち込むことにしたのだ。

 卵の例えは果たして妥当なのかどうかは知らないが(これが万能でなく、ある種批判を受けていることは耳にしている)、軽く指を曲げて固定すること、しかし力を込めすぎないことという点は、参考にすべきなのではなかろうか。指を弦に負けっぱなしにするのではなく、しっかりと弦をとらえて、無駄な力は加えない。この力任せには弾かないというところがきっと重要なんだと思う。

 なので、私は今一度基礎に立ち返って、アポヤンド改善を試みようと思う。基本は指の固定。しっかりと関節を決め、しかし力まず弾く。弾き終えた指が隣の弦に触れるとしても、それはもたれかかりではなく、ただ触れただけというようにしたい。

 弦を弾くのが目標であり、隣の弦にもたせかけるのが目標でないことを、決して忘れないようにしよう。


こととねギターサイドへ トップページに戻る

公開日:2005.07.05
最終更新日:2005.07.05
webmaster@kototone.jp
Creative Commons License
こととねは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 - 継承 2.1 日本)の下でライセンスされています。