リクエストされるということ

 私は、昼の休みに駐車場脇にて歌を歌っているのだが、そうすると聴いて下さる人がいる。ありがたい限りだ。中には、話しかけて下さる方もいる。本当にありがたい。そして、中にはリクエストくださる方もいるのだ。今までどれくらいあったろう。いつも歌っている中からあれをというのもあるけれど、そうではない、こんな歌を聴きたいというものも多く、井上陽水を歌って欲しい、中島みゆきの『二隻の舟』を聴きたい、古賀メロディーやってくれ、演歌を覚えるといいよ、などなど。おそろしいことに私はことごとくリクエストに応えてこなかった。いや、だって知らないんだもの。無い袖は振れない、知らない歌は歌えないのだ。だが、できることならリクエストに応えたかったなあ。

 そしてこの度『秋冬』をリクエストされて、これは歌えるようにしたいものだ、そんなことを思っている。もちろん、このリクエストが今までのものに比べたやすいなんてことはない。知らない歌だ。耳に覚えはあるとはいえ、歌えるほどではない。また仮に歌えたとしても、コードがわからない。仕込みの時間が必要だ。といって仕込もうとするうちに季節が過ぎてしまう。リクエストに応えることなく、時間ばかり過ぎてしまうのだ。

 てなわけで、曲集をがつんと買っておくべきかなあと思ったわけさ。たとえその時その場では歌えなくとも、数日すれば歌えます、そうなればいい、そうすべきではないかと思っている。

 今歌っている場所は駐車場脇、直に事務所が移転するので、私が歌うのは事務所となりの公園となるだろう。そこではどんな出会いがあるかはわからないが、その移転する前に、『秋冬』を歌えるようにしたいものだと思っている。


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公開日:2008.11.22
最終更新日:2008.11.22
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