実に微妙な感じにテンポが揺らいでいた私のメトロノーム。どうやらこの現象はぜんまいばねが疲労することで出る模様。最近では、かなり巻き上げられていないと、テンポまで遅くなるほどになっていた。はっきりいって、こんな状態ではよい練習ができるもんじゃない。なので、買い替えを検討していたわけだが、この際電子メトロノームを選ぶべきかと思った。それが以前いっていた話だ。
だが、実は私は電子メトロノームを持っていたんだ。かなり以前のメトロノームに関する記事中に、KORGのMA-30を持っていると書いていた。だが、私はこれをメトロノームとしては使わず、職場で昼休みに弾くギターの音合わせのために使うばかりで、というのももともとは夜間練習で人の迷惑にならないようにと思って買った電子メトロノームなのに、別に電子でなくても構わない状況が出現したために、使わなくなったのだ。職場で弾くときには、メトロノームを使って基礎練習したりはしないから、もとより必要ない。だから、Aを確認するためだけにしか使っていなかったのだ。
そのメトロノームを持ち帰ってきて、現在使用中。音が楽器の音にかき消されてしまうという心配は、なにギターの音程度じゃ問題にならなかった。だからそのへんはクリア。にしても、テンポが揺らいでいるかどうかを心配しないでいいというのはよいことだと思う。私のテンポ感よりもメトロノームの出すテンポの方が間違いないのは実際だから、しっかりメトロノームのテンポを信頼しての練習。やっぱ、これだよなあ。
ただ、電子メトロノームにはちょっと面倒もあって、それはテンポの決定だ。MA-30は上下ボタンをそれぞれ一度押せばテンポが1ずつ変わる。推し続けることで10ずつ変わる。そのへんの使い勝手は実に標準的でいいと思うのだが、しかしアナログメトロノームの、なんとなく目分量でおもりをざっと動かしてテンポを決めるというあの感覚、ああいうのがないのはちょっと面倒だ。テンポを決めるときに、いちいち数字なんて気にしちゃいない。これくらいのテンポっていう感じで決めるのだが、電子メトロノームはそういういいかげんさを許容しない。いや、タップ機能があるじゃないかという気もするんだが、練習の際に、いちいちタップを選んで、ぽんぽんぽんとボタンを押すのもまどろっこしい。それくらいに、アナログメトロノームのおもりというインターフェイスは優れていたのだ。
私が電子メトロノームを作るなら、テンポの決定はスライダーにしたいと思う。小型化できないという問題はあるけれど、これならアナログメトロノームの感覚でテンポを決定することができる。それでサンプリング音を使えたりすると最高かな、なんて思う。
あ、MA-30のいいところをいうのを忘れていた。これ、譜面台に置けるのはいいよね。楽譜とメトロノームを並べて見ることができる。これはアナログじゃちょっと無理なことで、まあ机を譜面台の向こうに置けばいいんだけど、どこでもそれができるってわけじゃないから、私は左手の机に置かれたメトロノームを目の端で見ていたのだ。テンポは目の端で見て確認するというのは確かに必要な技術ではあると思うけれども、指揮者を持たないギターなら別にそんなの鍛練しなくてもいいと思うし、まあどちらにせよ、電子アナログで一長一短はあるという話。