レディーバード購入その一

 2台目のギターを欲しいと思いはじめた頃、たまたま楽器屋で見かけたレディーバード。それから一年以上たつのにずっと欲しいと思い続けて、この度めでたく購入と相成った。

レディーバードというギター

 レディーバードというのは、老舗の国産ギターメーカーK. ヤイリの作っている小さなギターで、はじめてみたときの印象をZOLELEを購入顛末にこんなふうに記していた。

ビデオテープを買いに行った三番街でたまたま寄った梅田ナカイ楽器で見つけたのが、ヤイリのレディーバードというギター。ボディこそ小さいけれど弦長はしっかりと確保されていて、チューニングは普通のサイズのギターとかわらない。音色は今使っているドレッドノートの深い響きとは違い、軽くよく通るものというのもよかった。うむ、僕はレディバードを欲しいでござるぞ。

 このときは、弦による指の痛みに悩んでいて、テンションの弱い楽器を探していた。そして結局はナイロン弦のZOLELEにおちつくのだが、実はこのときレディーバードを選んでいても、おそらくは問題なかった。

 上記の引用部分、レディーバードの印象には二つの思い誤りがある。一つ目はレディーバードの弦長。チューニングがレギュラーを前提にしていることから、ショートスケール程度には弦長が確保されているのだと思い込んでいたが、これが間違い。レディーバードの弦長は570mm、対してショートスケールは610mm。レディーバードの弦長はかなり短い。それをレギュラーで合わせるのだから、その分テンションは緩いのだ。だから、あの時にレディーバードを買っていても、テンションの問題はなかったはずだ。

 そしてもう一つの思い違いとは、音色である。当時レディーバードを欲しいと思って、いろいろネットやなにかで調べてみると、思ったより鳴るだとか、音がはっきりしているとかそういう評価が出てきて、そういうものかと思っていた。だが、やっぱり楽器は弾いてみないと分からない。レディーバードの音は、私の考えていたものともまた違っていたのである。

レディーバード試奏

 レディーバードを買うにあたり、まずは試奏してみることにした。結構個体差があるという情報を得ていたので、ちょっと気にしたのだった。

音のこと

 私は基本的にはナチュラルカラーが好きなのだが、レディーバードに関してはレッドサンバーストがよかった。まずサンバーストをチューニングしてもらい、弾いてみた。

 最初の印象は、テンションの弱さと胴の小ささによるのだろう、なんだかぽこぽこして通らない感じの、楽器の表板すぐそばだけで鳴っているというものだった。確かに他のコンパクトギターに比べれば鳴ってるのだろうが、普段ドレッドノートを弾いているものだから、さすがに物足りないと思った。いや、楽器の種類がそもそも違うのだから、レディーバードをドレッドノートみたいに弾きたいという考えこそがおかしいのではあるのだが。

 サンバーストに続きブルーも弾いてみたが、その印象は変わらない。ボディの小ささよりも、弦の緩さによる響きの温和さが、しまりなく感じられた。

 基本的に私は、指で、それも爪を使わずに弾いてるのだが、おそらくはそれも悪いのだろう。爪で弾けば、やはりそれだけ音は前に出て鳴っているように聞こえる。ピックを使えばなおさらだろう。ということは、普段指頭だけで弾いてあれだけ鳴るドレッドノートというのは、楽器自体の鳴りが大きいのだ。レディーバードはむしろ弦の音が直接響くというのか、ドレッドノートでは荒々しくなりやすい爪の音も、レディーバードでは澄んだ音に聞こえる。やはり楽器を換えることで、気付くことはたくさんあるのだと感じた。

大きさのこと

 さて、レディーバードはかなり小さいギターである。そのせいで非常に持ちづらい。立って持ちづらく、座るとそれ以上に持ちづらい。足台をかなり高くセットして、両足に挟むようにして弾かんといかんように思う。そもそもボディが軽くヘッド側に傾く嫌いがあるから、非常に安定が悪い。ここはやはり、付属のストラップ――というか紐を使って、下げて弾いてやるのが正しいのだろう。

 楽器店、梅田ナカイ楽器グランドビル店で試奏したのだが、紐は結構長めに結んであったので、これが下げたときの弾きにくさにつながっていた。だって普段ドレッドノートを座奏で、しかも足台を使って弾いているのだから、ネックはかなり立った状態になれている。ヘッドがだいたい頭の位置に来ているといえば、その角度も分かるだろう。それが、レディーバード試奏時は、楽器の位置がかなり下がっていたものだから、ジミー・ペイジ以降のギタリストならへっちゃらだろうが、私にゃ無理だ。試奏とかいいながら、曲じみたものは少しも弾かず、ちょっとスリーフィンガーじみたのをやって、後は冷や汗をかいただけだった。

結局

 思ったより鳴らないという私に、店員は、なにしろ楽器が小さいですし、それに弦も古くなってます。まあ、その辺は私も分からんではないんだよ。弾いているうちに変わってきますというのにもうなずける。いや、そもそもなんにせよ、私はこれを買うつもりで来たのだから、買うんだよ。そう、買ったのだよ。

 ヤイリ、レディーバード。定価29,800円を24,800円で購入。


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公開日:2004.04.04
最終更新日:2004.04.05
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