打ち合わせを兼ねてちょっとアンサンブル

 私がギターを始めたのは、自分の歌に伴奏をつけられる楽器が欲しかったからなのだが、実はこの伴奏志向というのにはもうひとつの理由があって、実は私の友人に二胡をやっているのがいるのだな。二胡は中国の弓を使って弾く弦楽器であるが、全くの旋律楽器であるから、やっぱり伴奏楽器が欲しいということで、ここに両者の思惑が一致したのだった。なので、私はギターの移動簡便性を武器に、その二胡奏者の伴奏者となるべく修業中であったわけだ。

 で、その二胡奏者とちょっと打ち合わせを兼ねて合わせてみようという話になり、愛器アストリアス D. カスタム Sを引っさげて、友人宅を訪ったのだった。

打ち合わせとはなにか

 打ち合わせというのはなにかというと、私はなにしろ二胡のレパートリーというのを知らないから、まずどういう曲をやれるかということを知る必要があったのだ。基本的にゆったりとした曲で、いや、こういう知識はいかな私であっても持っている。例えば、速い曲ならどれくらいまでいけるのかとか、私はアイリッシュも好きなんだけれど、そういうのはいけそうだろうかとか、とにかく二胡という楽器を聴いて、どんなもんかというのを実感しようというそういう目的での会合であった。

 参加者は私ギター、二胡奏者、そしてシンセサイザーでの参加を(いやだむりだといってるのを無理矢理)頼んだ友人の三名。とりあえず今日はシンセサイザーを用意できなかったので、二胡とギターだけというミニマムの編成で合わせてみることにした。

偉大なりシンセ担当

 しかし、頼りになったのはシンセ担当の友人だった。私とシンセの友人は二胡の曲をほとんど知らず、だからいろいろと聴かせてもらう曲はほとんど初めて聴くものばっかりなのだが、なにがすごいといってもシンセ友人の聴音だろう。今日初めて聴いた曲を、二度目にはどんどん和声を聞き取ってコードを書き取っていって、メロディも書き取って、いやはや私は落ちこぼれだ。シンセ友人は楽器もなしに聞き取って、もちろん楽器がないから完全にはとれないという話だったのだが、しかしそれにしても充分だろう。だって、私は楽器を持ってるのにそんな聞き取りなんてできやしない。がんばりゃメロディくらいはとれるさ。けれど、あんなにすごいスピードで譜をとっていくのを見れば、ちょっと落ち込むなあ。

 ああ、私は聴音の授業が苦手で、できれば出たくないとさえ思ってたっけ。いやなこと、思い出しちまったよ。

合わせてみた

 とってもらったコードやらを頼りに合わせてみれば、これが結構いい感じで、私は今まで箱入りで、一人で黙々とやってきたもんだから、ほかの人と合わせられるだろうかなんて半信半疑で不安だったのだが、これならなんとかいけそうな気もしてきた。安心したのだった。

 実際合わせてみてわかったのは、メロディがあれば伴奏は基本となるパターンをしっかりと持続し、テンポをキープする必要があるということ。意外とゆっくりを維持するというのは難しい。どうしても走りがちになるから、こういうのは伴奏者がしっかりと把握して、支えておかないといかんのだなあと思った。

 実は、私は伴奏をすること自体はじめての経験で、なんせこれまでやってきた楽器というのがサクソフォン=旋律楽器、リコーダー=やっぱり旋律楽器、旋律楽器ばっかりだったのだ。アンサンブルや合奏の経験はあるよ。けれど大合奏なら指揮者がいるし、アンサンブルなら三人だったら三人、四人なら四人の合意というか、成員の間にできあがる暗黙のテンポみたいなので動いていくから、今日の伴奏としてみたいな経験は皆無だったわけだ。

 あ、合唱をピアノ伴奏したことはあったわ。けど、あれは残念ながら伴奏って感じじゃないよな。うん、そう思うくらいくらい、一種カルチャーショックを受けるくらい、伴奏というのは新鮮な体験であったのだ。

 がんばろう。せっかく伴奏ギタリストとなると決めたんだったら、とことんがんばろう。


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公開日:2005.05.05
最終更新日:2005.05.05
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