サックスを吹くようになって、ギターに割く時間が減ってしまった。それは事実だろう。しかし、それでも弾いている。それも、今まで以上にしっかりと弾こう、そのように意識して弾いている。なぜかといわれれば、やはりサクソフォンとギターのレベルの差を認識しないではおられないからだろう。5年ほど吹いていなかったサックスなのに、ギターよりもずっとしっかりと演奏できるのだ。リハビリ期間が終わろうとしている今、その実感はなお強くなる一方で、とにかくギターはうまくない。思ったようになんて弾けない。もちろん、サックスだって思ったようには吹けないさ。けれど、そのできないのレベルが違う。
私のギターにおける、最初の到達目標は、サックスにおけるレベル程度に達するというものだった。音大に入学できる程度。もちろん、音大にいくつもりなんてない。しかし、それくらいはできるようになりたいと思っていた。
といったことを思い出して、ちょっとまじめに練習をしているところだ。ホセ・ルイス・ゴンサレスの『ギター・テクニック・ノート』。これまでもちょこちょこと練習していたが、ちょこちょこではなく、とにかく一冊終えることを目標にしたく思う。まずは、左手の強化をやっつけたい。ボサノバを弾くには、強い左手が必要だ。開放で弾くということがほとんどないジャンルである。数小節にわたるセーハも、問題なくこなせるようになりたいものだなあ。そうした思いもあるのでうってつけだった。
左手の押弦がしっかりすれば、音にも影響するだろう。セーハのびびりがなくなるだけでも、ずいぶん違ってくるだろう。これらは基本だ。基本であるが、こと基本というものが難しい。できているつもりでいるが、できていない。そういうことは多々あって、だから折りに基本にもどって、さらいなおす必要がある。そして、私にとって今はその時であるようだ。もう何度目かわからないけれど、基本をしっかりさらう。なおざりにではなく丁寧に、一音一音に神経が通っているかのような気持ちでさらう。
ただ、さらいすぎると手を壊してしまいそうだから、そのへんはほどほどに。
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