ロッコーマンにいってきた

 ロッコーマンにいってきた。ロッコーマンというのは神戸三ノ宮で営業しているギター・バイオリンショップであり、アストリアスギターの取り扱い店である。

 さて、ロッコーマンになぜ足を運んだのかというと、ギターを、なんと身の程知らずにも、オーダーしようと考えたからだ。しかしなぜいきなりのオーダーなのか。それはまあ、追々語るとしよう。

アストリアスに決めた理由

 ギターのグレードアップを考えたるようになったのは、もう半年くらい前のことなのだが、最初はそりゃ普通に店にいって、店頭在庫から選んで買うつもりだった。ただそれでもどんなギターを買えばいいのかが難しい。ヤマハの雑誌『大人のギターマガジン ギター倶楽部』の特集記事なんかを見て、買うのならどれだろうどれだろうと煩悶したりして、もう面倒くさいからマーチンD-28にしようかと思ったら、D-28といってもいろんな種類があって実に訳がわからない。別に戦前マーチンに思い入れがある世代でもないし、ヘリンボーンに憧れたこともないし、むしろひねくれ者の私は誰もが認めるマーチンをあえて外したいと思うくらいで、できれば国産がいいと思っていた。

 国産ならどれにするか。ヤマハにしようとは、実は一度も思わなかった。一応断っとくけど、私はヤマハファンで、サックスを吹いていたときはセルマーを敵視しヤマハ一番と言い張っていた。ヤマハは身の丈の音がしたのだ。セルマーは確かによくなるし響きも華やかなのだが、どうしてもセルマーの音がしてしまい、それを嫌ってのことだった。ヤマハはむしろ落ち着いて、堅実さが感じられた。と、これはサックスの話ね。ギターはどうだか知らないんだ。

 国産といってもいろいろある。モーリスもあればタカミネなんてのも有名だ。けれどこれらも私の興味を引かなかった。なんでだろう。自分でもよく分からない。

最初気になったメーカー

 最初気になったメーカーはK. Yairiだった。岐阜にあるギターメーカーで定評がある。ただ困ったことに、ヤイリのラインナップは実に豊富で、どれを選んだらいいのかよく分からない。後々のことを考えていいギターを欲しいと思っていたので、というのも、何本も何本も買ったら家がギターで埋まってしまう。絶対売らないことは、自分の性格を考えたら明らかだ。だから、この二本目で決着をつけたかったのだ。

 買うならLOにしようかと思った。でもこうした各モデルの評判というのは見えてこなかったので、すぐにこれを選ぶというのもためらわれた。それに、楽器には恐ろしいことに個体差というものがあり、同じメーカーの同じモデルであってもばらつきが出る。これは材料が木である以上仕方がなく、それに製造過程もまったく一緒にはならないので仕方がない。1/1000に当たったらいいが、その逆だとショックじゃないか。店頭に同モデルが数本あれば選ぶのも可能だろうが、そんなにたくさん同じモデルばかり置かれていることは少ない。だから、実質上選ぶのは不可能、――ではないがかなり骨が折れることは間違いない。

 私はいろいろ考えたりするのが面倒くさいのだ。楽器の善し悪しを判別するのもそう。その日はいいと思っても、場所が違えば違う問題が見えるなんてざらで、これはサックスを吹いていたときに何度も経験したことだ。選定というのは、多角的に楽器を評価できる経験と、時間が必要な作業なのだ。

 なのでオーダーしようと思った。オーダーだったら、間違いなく自分用のものができてくるのであって、当たり外れの云々は(そりゃあるんだろうが)問題にならない。仮にあったとしても、それこそが一期一会じゃないか。

 そんなわけで、急にオーダーに気持ちは傾いていった。


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公開日:2004.07.08
最終更新日:2004.07.12
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