欧米における20世紀初頭から第二次世界大戦終結までの音楽の状況について

発表日1997年4月21日

はじめに

この時代

 19世紀末からの人口の増加、科学、技術の進歩は、20世紀初頭の経済成長を引き起こす要因となり、結果消費文化をもたらした。1900年にはパリ万国博覧会が開催されており、これは当時のヨーロッパ文化の優位を示す例である。

1900年からの特徴的出来事

年表:1900年からの特徴的出来事
西暦 事項 この頃
1900 プッチーニ『トスカ』ローマ初演 パリ万国博覧会 ニーチェ死去 フロイト夢判断 アメリカ、市民の基金によるフィラデルフィア管弦楽団の初演奏会 アール・ヌーヴォーが盛んに
1903 ブロードウェイ『オズの魔法使い』293回のロングラン ライト兄弟、世界初の動力飛行  
1904 プッチーニ『マダム・バタフライ』ミラノ初演 ドボルザーク死去 マティスのフォービスム注目される
1905 R・シュトラウス『サロメ』ドレスデン初演 アインシュタイン特殊相対性理論  
1906 ラジオ放送成功 グリーグ死去 マーラー『第八番交響曲』完成  
1908 GM設立 フォードT型誕生  
1909 マリネッティ未来派宣言 ディアギレフ、ロシアバレエ団パリ第一回公演 フォードシステム近代大量生産方式本格化 マーラー『大地の歌』 ニューオリンズジャズ流行
1911 カンディンスキー「青騎士」結成 アメリカラグタイム普及  
1912 ヴェゲナー大陸移動説  
1913 ストラヴィンスキー、ディアギレフ『春の祭典』パリ初演 アメリカ女性参政権デモ ガンディー市民権主調  
1914 第一次世界大戦勃発 パナマ運河開通  
1916 ダダイスム、チューリヒで起こる  
1917 ドガ死去 オランダ新造形主義機関誌「デ・ステイル」発刊 アメリカ第一回アンデパンダン展、デュシャン『泉』 ソビエト社会主義共和国連邦成立  
1919 バウハウス創立 モーム『月と六ペンス』 ガーシュイン『スワニー川』  
1920 モディリアーニ死去 シェーンベルク十二音技法  
1921 サン=サーンス死去国葬される  
1922 ジェイムス・ジョイス『ユリシーズ』  
1924 ガーシュイン『ラプソディー・イン・ブルー』初演 シュルレアリスム宣言 シェーンベルク『管楽五重奏曲』  
1925 ラジオ放送、映画普及 アール・デコ ベルク『ヴォツェック』  
1926 テレビ公開実験成功 ゴダード、ロケット打ち上げ ガウディ死去 戦艦ポチョムキン話題に  
1927 初のトーキー映画公開 デューク・エリントン有名に  
1928 テレビ定時放送開始 ブレヒト『三文オペラ』  
1929 世界恐慌  
1931 ダリ『記憶の固執』  
1933 ヴァレーズ『電離』 ナチスドイツ政権を掌握  
1937 ピカソ『ゲルニカ』  
1938 シュルレアリスム国際展覧会 グレンミラー成功  
1939 ビリーホリデー『奇妙な果実』 第二次世界大戦勃発  
1940 ディズニー『ファンタジア』  
1942 モダンアート「今世紀の美術画廊」 グロスビー『ホワイトクリスマス』500万枚  
1943 ブロードウェイ『オクラホマ!』初演、2212回ロングラン  
1945 第二次世界大戦終結 ヴェーベルン死去 バルトーク死去  
1948 社会主義リアリズム、ショスタコーヴィチとプロコフィエフを批判  
1951 シェーンベルク死去  

 20世紀当初は後期ロマン主義、印象主義、フォービスム、民俗主題への注目、無調主義など様々な動きが同時に進行していた。1914年からの第一次世界大戦前後には、ダダイスムに代表される既存の文化、道徳的価値への反動が現れ、時代の不安をあらわすかのようなシュルレアリスムを産み出す。音楽では反ロマン運動としての新即物主義、新古典主義が現れている。

 アメリカでは実験的手法による作品が多く作られ、その結果、トーンクラスターやピアノの内部奏法、多くの楽器の特殊技法が開発され、打楽器的なプリペアドピアノの発明、打楽器主義などが産み出されている。


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公開日:2003.06.03
最終更新日:2003.06.06
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