ルフィーノ キャンティ クラッシコ
リゼルヴァ ドゥカーレ ゴールド 1993

本日のワイン:Ruffino Riserva Ducale, Chianti Classico Riserva 1993

本日のチーズ:

ウォッシュチーズ
タレッジョ
ブルーチーズ
ロッシュバロン
ブルー・デ・コース
ようわからんチーズ
サントモール・ドゥ・トレーヌ・サンドレ

 ワインというのは、なんというのかそれがどこの産地で、どういう葡萄で出来ていて、その年の産にはどんな性格があって、うんたらかんたら、と難しいことを考えながら飲むものというイメージがあるけど、それは多分大間違いだ。

 だって、フランスの映画にしろイタリアの映画にしろ、彼らがワインを飲むときは、それこそそこら辺にある湯呑みみたいので、適当にかっくらったりして愉しんでいる。でも、彼らはワインがまったくわからないというのではなくて、このワインはどうだこうだというのをちゃんとしゃべっていたりする。きっとこういう肩ひじ張らない飲み方が、生活に根差した文化としての飲み方なんだろう、と思う。

 茶道の宗主、千利休の残した利休百首にこうある。

茶の湯とは只湯をわかし茶をたててのむ計りなる事と知るべし

 だからなにもわからんで飲んでもいいじゃないか。問題なのはそのワインがおいしいかどうか、飲んで愉しんだかどうか、だけだよ。

ワインの準備

 さて、本日のワイン、キャンティ・クラシコは昨年の梅田阪急で催されたイタリア展に行った際に購入したものです。はっきりいって、客寄せパンダのジローラモ目当てでいって、朝から晩まで催事場に張り付いているだけというのもつまらないので、ワインのテイスティングを片っ端からやって、チーズ売り場に詣でて、何度もジェラートを買って、としてたら、すっかりできあがって世界は灰色。判断力を失って、ワインを二本、チーズも買っちゃった、という次第。
 その二本のワインのうち、残ったいいほうの一本を飲んだのでした。

 このワイン、あえて1993年ものと書いたのには意味があって、この年が当たり年だったのだそうです。しかも、その当たり年のワインの、さらに限定品。ラベルが金色の高いほうを買っていたりします。
 つくづく限定品という響きに弱いのです。

 同じ飲むならおいしく飲まねばならんということで、チーズも買ってきたりして、それが上に列挙したチーズ群であります。
 内訳は、ミディアムボディのワインにあうのは? と聞いたら程々に強いブルーチーズとのこと。ということで選んだ、強いほうのブルー・デ・コースと、弱いほうのロッシュバロン。ブルー・デ・コースというのは、匂いもそこそこ強く、塩味も利いてパンチがあります。較べてロッシュバロンは非常にクリーミーな、カマンベールみたいな触感。滑らかな感触が非常においしいです。
 それに付け加えてウォッシュチーズのタレッジョ。これは昨年のイタリア展でも買ったもので、昨年はオムレツにしました。ほどほどの臭み、でも味自体は結構淡泊。塩味が利いていておいしいです。
 そしてサントモール・ドゥ・トレーヌ・サンドレ。これはヤギのチーズで、ちょっとぼそぼそした感じがあって、非常に淡泊。だけど、表面に炭がまぶしてあるそうで真っ黒。食べたら炭の味が後味に残って、ちょっとしんどい。ということで、最初に回りだけかじって食べて、中身は後の楽しみにするのが正しい食い方かも知れない。でも、次はきっと買いません。まずくはなかった、結構おいしかったんだけどね。

 飲む前にグラスとデカンタを用意して、さっと水洗い。そうしないと棚の木の匂いが移ってたりするので、このへんは神経質。その後ペーパータオルで神経質に拭いて、デカンタにワインをそろそろと移します。
 いやあ、移すのはいいんだけど、右手が震えるんだわ。いっても750mlのボトル。1kgもないボトルから半分ほどを移すだけだってのに、手が笑っちゃいました。情けない。鍛えなあかんね。

 デカンタするのには理由があります。今回のワインは赤ワインなので、渋味の原因となるタンニン酸が含まれています。そのまま飲んだらその渋味が直撃してしまうので、まず空気に触れるようにして酸化させて、味わいを出してやるのです。温度はそのため、常温です。
 詳しく書こうと思ったのですが、手元にあったはずの資料が散逸してしまってありませんでした。でも平気、おいしく飲めれば原理はどうだっていいんです。

ワインを飲む

 前置きはどうでもいいので飲んでしまいましょう。

 いや、本当においしかったですよ。コルクを抜いて香りを嗅ぐと、葡萄のフルーティーさが香るんですよ。飲んでみたら、ワイン自体は、非常に軽く軽快なのに、あさはかじゃないって感じ。飲み口は鮮やかで、しっかりとした土台があるというものでした。

 空腹のところに例のチーズ群とワインをいったわけですが、チーズと合わせて飲んだせいか、ワインがおいしかったせいか、全然酔いません。確かに足下はふらいついていたような気もするけど、でも平気。上機嫌になりこそすれ、泣いたりわめいたり怒ったりなんかしようもない。ただただ仕合せな気分になりました。

 チーズの評判は、一番強いブルー・デ・コースは評判悪かったです。母、姉は最初に食べた以上、食べなかった。けれど、確かに強いけど、ワインにはあってました。この後に飲む本当にワインはおいしかった。
 姉に好評だったのはロッシュバロン。クリーミーさが受けたのか、食べやすくて、次々と進みます。これだったらワインがなくても、つまんでおいしい感じです。でも、母は多く食べなかった。
 タレッジョは塩味が利いておいしいです。ちょっと臭みはあるけど、チーズが苦手な母でも食べていたので、きっと平気だと思うよ。そのままで食べてもおいしいけど、オムレツの具になんかしても非常においしい。昨年、イタリア展で買ってきたソアヴェ(白ワイン)にタレッジョのオムレツを合わせた時は、昼から非常に幸せでした。ちなみに、ソアヴェは飲みやすくて、水みたいです。
 さて、サントモール・ドゥ・トレーヌ・サンドレ。ちょっと特殊な味です。慣れていないので、ちょっと背筋がぞくぞくする感じ。そういう人は、炭の部分を最初にやっつけてしまうべきでしょう。そうしたら、チーズ特有の臭みというのがほとんどないので、食べやすく、逆に物足りない感じさえします。

 そんなこんなで、あっという間に一本を開けてしまいました。750mlって少ないですね。2リットルくらいあってもいいのに、という気分でした。
 そもそもが、いやでいやで仕方がなかったテープ起こしの仕事のご褒美として、自分に用意したワインの日だったわけですが、正直おつりが来るくらいいい感じです。でも、テープ起こしはもうたくさん。ワインだけがいいです。

 ああ、今日はすっかり世界が灰色。世界を灰色に見ながら生きていきたいものですね。


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公開日:2000.10.15
最終更新日:2001.09.02
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