Vin de pays rouge de l'Aude Francine 2001

本日のワイン
Vin de pays rouge de l'Aude Francine 2001

前置き

 なんでかよく分からないんだけど、突然食卓にワインが出現してきて、どうやらこれは夕食のメインが上等な牛肉だかららしい。ラベルには「フランシーヌ」とあって、けれどちょっと聞いたことないなあ(聞いたことないのは、今回に限ったわけじゃないけど)。でも好き嫌いなくなんでも飲んでみる性質なので、ここは気にせずいただきましょう。

 でも…… 気にせずといってすぐにこんなのいうのもなんなんですけど、よく冷えているのはなんでなんだろう。適温は15から17度って書いてあるのに…… でもまあいいか、飲んでるうちにあったまるでしょう。ああ、ワインをふるんじゃない。撹拌したら……、といってもそんな澱がよどんでどうこういうようなワインでもなさそうだから大丈夫か。もしこれが高いワインだったら、泣きのひとつも入るというものです。

ワインを飲む

 抜栓してみると、非常にはなやかな香りでむしろこれは気軽に飲んで楽しむようなワインのような気がするぞ、という予感は当たっていました。一口目こそは渋ぅ、てなもんでしたが広口のデカンタに移してみると、飲み口が軽くあっさりとした印象。脂が強めの牛肉に合わせるには腰が弱く、押しきられてしまうような頼りなさが感じられました。けれどあっさりした和風の野菜の煮物とあわせてみると渋味が前面に出て華やかさなんてのは奥に引っ込んでしまうのですから、やっぱり肉料理やなんかと合わせるほかはないと思われます。

 そういえば冷蔵庫にチーズがあったはず。探してみるとそれはオランダのスモークチーズで、残念ながらワインにはあいませんでした。チーズはチーズでおいしかったので、残さず食べるのが私という人間のいじましさ。多分このワインには、浅めのカマンベールとかの濃厚なんだけどさほど癖が強くない、それくらいのチーズと合わせるとよい感じがします。けれどカマンベールなんて常備してません。残念無念で、半分は明日に残しておきましょう。

 肉と合わせて、スモークチーズと合わせて、野菜煮込みと合わせて、あとイカの塩辛とも合わせたのですが、塩辛は駄目ですね。塩辛はよくつかってかなりうま味も出ていたよいものだったのですが、そのせいでワインが全然表に出てこなくって、なに飲んでるんだか分からないという状態になってしまいました。この塩辛には辛口の白か日本酒が合うでしょう。このワインに合わないのは予想の上だったのでショックもないのですが、なんとかおいしく飲みたいのにその方法がないというのではちょっともったいないというものです。

 でも、多分このワインは、気楽にお昼や食前に飲むのが正しい。飲みやすいけれど安物のテーブルワインというほどには悪くないので、ちょっとした時に気楽に飲んで、ついでに軽く食事もしたりして、というのが一番合った飲まれ方なのでしょう。高級肉とか前にしてしゃちほこ張ってなんかとかじゃなくて、普通の時に普通の食事と一緒に、普通に楽しむワイン。ほら、イタリアいったときにハウスワインを頼んで、なんとはなしに飲んでおいしい。そのようにしていただくワインでしょう。けれどそうやってワインを飲む習慣がない向きには、ちょっと中途半端な感じがした。それは私の、ワインに高級感を持つ古くさい感性のためかも知れません。


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公開日:2003.09.04
最終更新日:2003.09.04
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