扇風機

 私はもともとクーラーが駄目で、長く冷風に当たっていると背中の辺りがぐったりとしんどくなる。電車なんかに乗ると、冷房の効いた車内に半袖で汗をかいている人がいて、正直信じられない気持ちがする。私は寒さ対策に長そでの上着を着て、それでも寒いときがあるというのに。満員電車でひっつく相手の体温が熱く感じられるほど冷えきっていて、こんな具合に、私は他の体温高そうな人と比べて有利だ。もともと体温があまり高くない上冷え性で、さらには血圧が低いのも手伝っているのか、暑さにはへこたれながらも結構強いといえる。ただ体温の調整がうまくなく、暑くなれば消耗し、寒くなれば体調を崩す不便があるので、この体質がいいと思っているわけでは断じてない。むしろ夏は苦手で、毎年早く過ぎてくれればいいと思う。

 全国的に猛暑酷暑の今年の夏は、とりわけ私にはきつくあたる。三十度台後半の気温は軽く私の体温を越えて、こもって排出されない熱が体力を奪っていくのを感じられるくらいだ。まだ七月で、直き季節は残暑に移っていくが、厳しさはきっと変わるまい。後一月の暑さを乗り越えられる自信が正直いってない。

 この暑さにも関わらず自宅では冷房を使わない。理由は、しんどくなるからだ。さらに自室には冷房も扇風機もなく、あまりの暑さに枕を外して俯せ寝する。こうすると背中が完全に開くからか、多少楽なのだ。ただ翌朝には、気化熱で冷やされた肩背中が尋常でないほど凝っていて、結局一日中しんどくてやる気が出ないという。いずれにせよ夏は悪い季節なのだ。

 実は、扇風機も駄目なのだ。弱中強とあれば必ず弱を選んで、しかもリズム風にしているというのに、風が当たるとぐったりとしんどくなってくる。背中が重くなって、立つのも億劫になってくる。扇風機が体温を飛ばして、一緒に体力も飛ばしてくれるようだ。だがこの堪え難い暑さ、風を直接うけないよう扇風機をかけてしのいでいる。


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公開日:2004.07.29
最終更新日:2004.07.29
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