観戦は頭に氷嚢をのせて

 十五日のオリンピックが開会して、三連休をオリンピック漬けで過ごしてしまっている。

 初日は開会式、二日目は男子体操予選を皮切りにビーチバレー、水泳女子メドレー、柔道を、三日目、つまり今日は女子水泳から始まって、女子重量挙げ、女子エアピストル決勝、そして柔道へと続くのだが……知恵熱が出てしまった。

 原因は判ってるのだ。女子重量挙げを、地味だ地味だと文句を言いながらも、それでも結構面白がってみているうちに、妙に力んでしまって疲れてしまった直後、苛烈な集中力の中で進行するエアピストルに移行したのがまずかった。

 人間とはおかしなもので、自分がバーベルを持ち上げてるわけでもなければ、自分が銃を手にしているわけでもないのに、観戦にのめり込んでいくと、まるで自分が選手となにかつながってでもいるかのように力み、息を詰めてしまう。

 以前、バイト時代、控室で阪神戦を見守る阪神ファンの同僚が、選手の一投一打に息を詰め、好し! 好し! と声をあげてるのを見て、スポーツファンというのはこういうものなのかと、到底理解できない気持ちでいたのを憶えている。野球やサッカーといったメジャースポーツに興味のない僕は、彼らの打ち込みようが本当に分からなかったのだ。

 けれど改めて自分を見直すと、同じことをしている。

 バーベルが高く掲げられたとき、好しっ! と声をあげ、バーベルを取り落としたときには、惜しい〜 と呻く。射手が的に照準を絞るときには息を止め、ポイントの善し悪しによって吐くのは安堵だったりため息だったり……

 それでもって、緊張のあまり知恵熱を出してしまうのだ。

 でも、知恵熱くらいで負けてはいられないので、氷嚢を用意する。氷を詰めた袋を頭にのせて、観戦。

 なんでそこまでするかなと、自分でもあきれる始末だ。けど、見たいんだから仕方がない。

 どうぞ神様、閉会式までこの身体、つつがなく過ごせますように。


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公開日:2000.09.17
最終更新日:2001.09.02
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