シリーズ iBook G4 ららら

私のアップグレード手順

 Mac OS X 10.4 Tigerを導入するに決めたはいいけれど、実は私はクラシックMac OSでのノウハウこそ多少はあれど、OS Xに関してはほとんどないという、まさにものを知らないユーザーであるわけでして、だからアップグレードするとなれば、いったいどれくらいのデータを集めて、どういう書類を引き継いでやればいいのかとか、そういう手順が全くわからず不安でありました。

 そんな私がとったアップグレード手順を以下にちょいと書いてみましょう。

 あ、最初に断っておきますが、OS X 10.4はクリーンインストールしています。

引き継ぎは最低限

 コンピュータで最も大切なものはデータですから、なによりもデータを引き継ぎたいと思うのは誰しも同じで、けれどデータの引き継ぎというのはそれほど大変ではありません。Mac OS Xは、各ユーザーのホームディレクトリにおおまかなカテゴリにわけられたフォルダが最初から用意されてますが、私のデータ分類はおおむねこの区分に沿うかたちで行っていましたから、そのまんま外付けHDDにコピーしておいて、新環境が準備できたらそのまま書き戻してやればいいと、それだけの話であります。

そのまま移行するフォルダ

 MySitesというのは、こととねなどサイト運営にかかわる文書が入っているフォルダで、これもそのまま書き戻してやれば大丈夫です。

そのまま移行ができないデータ

 問題は、そのまま移行ができないデータです。具体的にいうとライブラリに入ってるデータですね。ライブラリにはシステムを始め、さまざまなアプリケーションが使う書類が収められているのですが、基本的にどういうのがどこに入ってるかってのは、開けてみないとわかりません。SafariとかMailみたいにライブラリ直下に書類を置いているヤツもあれば、ライブラリ/Application Supportの下に書類を置くやつもいます。

 多分、この書類の置き分けには理由とか方針とかあると思うのですが、残念ながら私はその辺詳しくないので、いろんなところを開けて、必要そうな書類がどのへんに置かれているかとかを探さないといけないんですね。

 探すべきところは以下の三点じゃないかと思います。もちろん私の場合に限りますので、参考にされる場合は鵜呑みにしちゃいけませんよ。

必要なデータを選別する

 探すべきところを三点にしぼったからといって、じゃあそれらのフォルダをそのまま新しい環境に移せばいいってもんじゃありません。中にはいらない書類もあるでしょうし、あるいは仕様変更があって旧設定では不具合を出すようなものもあるかも知れません。

 そんなわけで、私は最低限度引き継ぎたい設定だけを選んで移し、その他は心機一転新設定、あるいは手動で設定変更しようと決めたのでした。

 なんとしても移したいデータ、設定はというと、まずMailでしょう。Mailといえば、パスワードの保存はKeychainsが一括で管理していたはずだから、そいつも必要です。それからアドレスブック、iCal、iTunes。そしてiCab、mi、Dreamweaver MX、CocoMonarと、数えてみれば、実はそれほどではないんですよね。このうち、MailとKeychains、iCalはライブラリ直下にデータ及び設定のフォルダを持っていて、iCabとDreamweaver、miはPreferences内に主要な設定データを収めています。アドレスブックはApplication Supportに。CocoMonarはApplication SupportとPreferences内にそれぞれ役割の違う書類をわけて持っています。

 これらをざっと見つけておいて、けれどコピーするのはライブラリフォルダ丸ごとでいいですよね。外付けHDDに確保しておいた領域に、データフォルダもろともライブラリをコピーしてやりました。

手動で移すデータ

 Safariの設定に関しては、手動で移すと決めました。Safariでとりあえず移す必要があるのはブックマークくらいなもので、ブックマークはデスクトップにドラッグ&ドロップで保存できるから、それで一気に確保。クッキーやなんかは、この際初期化してしまうことに決めましょう。

 RSSリーダーパラボナミニから、購読していたRSSの情報もとり出しておきたいですね。パラボナミニにはOPML形式のファイルを書きだす機能がついているので、これを利用するのが一番楽です。書き出したOPML形式のファイルはそのままテキストエディタで開いて読める(XML万歳!)ので、必要なURIを取り出すのはなんの造作もありません。

いざインストール!

 データ移行の下準備が終わったので、いざインストールです。インストール前に、イーサネットケーブルと電源を除くすべてのケーブルを外します。この状態でインストールDVDを挿入し、再起動後はもう淡々と指示に従って進めていくだけ。楽な話ですよ。

 最初にいっていましたように、ここではクリーンインストールを選んでいます。クリーンインストールを選ぶと、ハードディスクのフォーマットから始まって、一からOSがセットアップされます。こうすることで最も安定した状況が得られると思うのは、私が古い人間だからかも知れませんね。

 インストールにはおおむね一時間弱ほどかかりまして、けれど、途中でインストールプロセスが中断されるなど、心配していたようなことも起こらず無事完了しました。

 インストールが終わって最初の起動も無事完了し、後は旧ユーザーと同一のユーザー設定をしてやればいいだけです。同じ名前、同じユーザー名、とりあえずパスワードも同じにしておきました。アップルに登録してあるユーザー情報を利用すると、住所やなんかの入力をはしょれるというのは、小さなことですが便利ですね。

環境復旧

 Tigerが無事起動することを確認して、じゃあいよいよ環境を復旧しましょうか。データの復旧は、それぞれのデータフォルダ内のデータをコピーするだけだから簡単。わざわざ説明するほどのこともないのではしょります。

 iCab、mi、Dreamweaver MX、CocoMonarの設定ファイルについては、もう慣れたものでして、Preferencesに入っていたものはPreferencesに、Application SupportのものはApplication Supportに移行して、起動させてみて確認。うん、ちゃんと設定も引き継がれてますし、問題なく動きます。iCab、Dreamweaverに関しては、OS 9からだって問題なく引き継げたんですから、OS X間の移行などなんら問題でもないって感じでありましょう。

アドレスブック

 さて、ここからは初めての移行体験です。まずは小手調べにアドレスブックのデータ移行を行いましょう。アドレスブックのデータはApplication Supportに入ってるようなので、これを新しい環境にコピー。起動してみると、どうやらちゃんとデータは移っている模様。OS Xのアプリケーションでも、基本的にはデータフォルダ移行で大丈夫と確認できて、がぜんやる気が出てきました。

iTunes

 iTunesは、ライブラリデータを外付けHDDに移していたからか、非常に移行は楽でした。大容量のファイルを動かす必要もありませんし、ミュージックフォルダ内のiTunesフォルダがちゃんとコピーされているのを確認してiTunesを起動させると、問題なく引き継ぎできてます。再生回数やマイレートも継承していますし、パーティーシャッフルの順序もちゃんと残っていました。優秀です。

Mail

 一番びくびくしていたのはMailでした。まずはKeychainsのデータを移行して、次いでライブラリ直下のMailフォルダをコピー。それだけじゃ不安だったからPreferencesからcom.apple.mail.plistというのも拾ってきてコピー。その後Mailを起動すると、なんか恐ろしげなダイアログが出ます。びっくりして一度閉じて再度開いてみたら、新しいTigerのMailにようこそって内容でした。ちゃんとデータを引き継いでくれるんだそうです。なのでお願いしてみたら、きっちりと以前の通りにフォルダも分類のルールもアカウントも迷惑メールの学習も、過不足なく引き継いでくれていました。素晴らしいです。

 メールの受信確認をしてみると、キーチェーンに関するダイアログが出て、そいつに適当に答えてやれば、メールをダウンロードすることができました。問題なくパスワードの確保もできているようで一安心。いや、実に素晴らしい成果であります。

iCal

 ただ、難儀だったのがiCalでした。私は最初、カレンダーデータの収められている/ライブラリ/CalendarsをそのままTigerのライブラリ下に移してやったのですが、それではデータが移行されません。仕方がないので、Application Support内のフォルダやらPreferences内のiCalと名前のついたファイルやらを片っ端から移して、それでも駄目。仕方がないから、手動でデータを移行することにしました。

 iCalを起動し、ウィンドウにコピーしておいた/ライブラリ/Calendars内の.icsファイルをひとつずつドラッグ&ドロップしてやります。そうしたら、どのカレンダーに読み込むかと聞いてくるから、ホームのものはホームへ、新規のものは新規で、そうやって地道な作業でもって移行を終えたのでした。

 移行終了して、なにが悪かったのかと思ってライブラリ内のiCalのデータを確認してみると、どうもiCalは大幅に仕様変更をしていたみたいなんですね。以前は/ライブラリ/Calendarsに収めていた.icsファイルを、Application Support下に動かしたみたいなんです。さらにいえば、それぞれのカレンダーデータはSourcesとう名前のフォルダに保存されて、さらにその下にカレンダーごとのフォルダが作られています。データ実体の.icsファイルは全部corestorage.icsという名前になっているから、どうもこりゃ今までの考え方は通用しないですね。つうことは、iCal FTPはもう使えないってことか。困ったな、公開カレンダーの更新ができないじゃないか。いや、もう全く更新してないからいいんだけれど、今後更新したくなったときに困るな。まいったな、どうしようかなあ。と、仕様変更でいらぬ悩みも増えております。

Safari

 Safariにいたってはもう楽なもんでして、一個一個、保存しておいたブックマークのデータを、残すか残さないか判断しながら、残すとなったらブックマーク、もういいやとなったらさようなら。こうやって過去のブックマークの整理も終えてしまいましたとさ。

 ただSafariに関しては、新しいRSSリーダーとしての機能があるから、さらにブックマークの整理は進められて、以前通りサイトのトップにブックマークしてるものと、RSSにブックマークしてSafariの自動でアップデートの確認をしてもらうもの等々、いろいろがんばってみました。

終わりに

 とまあ、こんな感じで10.3から10.4に移行してみて、以上の作業に要した時間はわずか三時間でありました。

 今回の文書には書いてませんが、MacromediaのWebスイートは全部新規インストールでアップデートも行ってますし、私の日本語入力環境であるEGBRIDGEにおいても同様です。その他のオンラインで入手できるフリーウェア、オープンソースソフトウェアに関しては、新規にダウンロードし直してインストールしてますから、そうした手間も含めて三時間というのは少ないうちだと思いませんか。

 正直、もっともっとかかると思っていたから、正直安心しましたよ。こんな移行作業で何日も費やすなんて、私はごめんですから、思った以上に楽でよかったです。


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公開日:2005.05.02
最終更新日:2005.05.03
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