WebMoneyでおかいもの

 そこにたどりついたのはまったくの偶然だったのだが、出会ったからには仕方がない。二日ばかり迷ってから、ダウンロードすることに決定した。

 それはキャラアニ・ドット・コムという、ムービーのダウンロードサイトのようだ。コンテンツの大半はよくわからないものだったので、そのまま通り過ぎようと思ったところが、よりによって「あずまんが大王」の名を見つけてしまった。こりゃ、立ち止まらんわけにはいかんだろう。

 「あずまんがWeb大王」は有料コンテンツなので二百円かかる。

 二百円で片が付くのなら安いものだが、今回買うのはムービーのダウンロードコンテンツ。自分のネット環境を考えて躊躇した。ムービーはライト版からスーパー版までの三種類用意されていて、スタンダード版で約16MB、スーパーだと軽く30MBを超える。こんな巨大なファイルをダウンロードするなんて、考えるだけでげんなりする。

 仕方がないので職場で無料サンプルをダウンロードしてみた。ライト版はそもそもからしてサイズが小さすぎて論外。残るはスタンダード版とスーパー版ではあるが、発色の違いと細かくのるノイズを嫌って、結局はスーパー版にきめてしまった。

 そうなるのは、最初からなんとなくわかってたんだけどさ。

 購入するとなると、WebMoneyを工面しないとならない。説明によればコンビニで買えるらしいので、職場の帰り道に買って帰ることにした。

 これもはじめての試み。よくわからない機械のタッチパネルを押して、WebMoney購入画面にたどりついて驚いた。それこそ百円二百円から買えるものかと思っていたのに、額面の最低価格が二千円。手元に使い道のない千八百円が残ることになる。やめようかという思いがよぎったものの、乗りかけた船だ。勢いで購入して帰った。

 帰ってすぐにコンピュータを立ち上げる。ISDNの速度に期待してLC630を立ち上げるものの、セキュアの期限切れが原因でアクセスできない。仕方がないのでiBookのアナログモデムでダウンロードを敢行することになってしまった。

 IE5でアクセス。WebMoneyのスクラッチ番号を打ち込み、ダウンロードを開始した。職場での専用線接続を体験しているだけに、あまりの遅さにめげそうになる。けれど、後はほっておいてもコンピュータが勝手に働いてくれる。安心して、食事に行った。

 しかし、世の中というのはおそろしいもので、8MBほとダウンロードがすんだ時点でIEがフリーズしてしまった。ダウンロードの状況を確認しようと、ウィンドウを切り替えたのが悪かったらしい。一時間半ほどを無駄にして、再度接続。一からダウンロードをやり直すことになった。

 時間は夜八時を少しまわったところだ。うまくいけば十一時になる前に終了できるかも知れないと思ったが、これがまったくの甘い考え。時間が遅くなるに従いだんだんとダウンロード速度は落ちていき、十時をすぎると、ほとんどデータが流れなくなった。しかも、いま接続しているプロバイダは、激安のかわりに夜十一時以降、回線使用率が九割を超えると、一時間半以上接続している利用者から切っていくことになっている。

 かくして、二度目のチャレンジも失敗となった。

 三度目のダウンロードは深夜に持ち越されることになった。軽く仮眠をして、夜一時過ぎに起きだして再接続。安いかわりに遅いプロバイダか、費用がかさむかわりに速いほうか迷ったものの、費用の面で有利な方を選んでしまった。

 未だネットは混んでいるようで、データの流量は微々たるもの。プログレスバーは遅々として伸びない。

 見守っていても仕方がないので、ゲームをしながらまつことに。節目節目でコンピュータの前に戻り、ダウンロード状況を確認する。決して速くはないとはいえ、徐々に伸びているプログレスバーに安心し、またゲームに戻る。この繰り返しだ。

 ダウンロードがすんだのは、午前五時のことだった。ダウンロードに要した時間は三時間四十七分を数えていた。対してムービーは三分四十三秒。白みかけた朝ぼらけに見る、一秒あたり約一分を費やしたムービーは、まさに格別だった。

 大きな仕事をやり遂げた満足感とともに、短い睡眠をとるために布団に潜り込んだ。薄れゆく意識の中で考えていたことはただ一つ。速い回線が早くやって来て欲しい、いやまじでそう思う。


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公開日:2001.03.31
最終更新日:2001.09.02
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